HSP関連本を心理カウンセラーがレビュー【繊細さんの本】
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心理カウンセラーの吉野です。
HSP(Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン))関連の本を10冊程度読んでみて、
私の独断と偏見でレビューしていこうという企画。6冊目です。
※今回、月額980円で読み放題の Kindle unlimitedがかなり役立ちました。
私自身、結構本は購入するタイプなのですが、それでもなかなか踏ん切りのつかなかった本がサクサクっと入手できました。
(まるで図書館で10冊程度まとめ借りしたようなノリで、様々な本を入手できたのもKindle unlimitedのおかげです)
まずは本で情報を得たい方にオススメ。初月30日間無料です。
※私はHSPなのかな?と思った方に必ず一度目を通していただきたいことについて
別の記事にまとめさせていただきました。
まだお読みでないという方はぜひこちらもお読みください。
今回読んだHSP本:「繊細さん」の本
今回読んだ本はこちら。
「繊細さん」の本 武田友紀著
HSP本の大本命。25万部を売り上げた大ベストセラー
HSP(Highly Sensitive Person)を「繊細さん」と呼んで
平易な言葉でHSPのことをわかりやすく紹介している本。
なんと売れに売れて25万部のベストセラーになっているようです。
で、私自身、この本は
「HSP本を10冊読んでレビューする企画」
には「外せない本」と思って大きな期待と共に読んでみました。
HSPの「特徴」と「対処法」について言及を試みた本
この本で著者は、
「自分もHSPであることを自認している作者が」
「繊細なカウンセラーによる、繊細さんのための、実際に有効だったノウハウを詰め込んだ実用書」
と主張されています。
そして、「自らが多くのHSPのカウンセリング実績を持つ」ことから
「これまでの(HSP本)とは違った視点や方法」で
「繊細さんが幸せに生きるための技術」を伝える、というスタンスです。
HSPが取るべき「対処法」が解説
この本にはたくさんの「対処法」が説明されています。
例えば、「視覚」が過敏な繊細さんは
- メガネやコンタクトの度を落とす
- サングラスをする
- 伊達メガネをかける
- 縁の太いメガネをつけて「ここだけ見ていればいい」と、見る範囲を決める
「聴覚」が過敏な繊細さんは
- ノイズキャンセリングイヤホンをする
- 耳栓をする
- イヤホンで心地よい曲を聴く
等、五感別の対処法が書かれていたり、
対人関係や職場での振る舞いについてなど、
いろいろなシチュエーションで、どんなふうにすればいいかについて
いろんな提案がなされています。
HSPが原因で生きづらさを抱えてしまっている方が
「何か1つでも参考になることはないか」
と思って読まれると、何かヒントが得られるかも、ですね。
ただ、カウンセラーの立場から見て、少し気になる点もありまして。。。
HSPは「生まれついた気質」のみ?
この本には、
「生まれつき繊細な人」が5人に1人の割合で存在することがわかってきました。
繊細さは性格や環境によるものではなく生まれ持った気質であり、生まれつき背の高い人がいるように「生まれつき繊細な人」がいることが明らかになったのです。
周りの人が気づかないささやかなことに気づく。あなたが持つ繊細さは性格上の課題ではありません。「ただ繊細に生まれついた」という気質なのです。
と書かれています。
他の本では大なり小なり
「生まれ育った家庭環境(後天的環境要因)によりHSPの様相を呈する場合もある」
という点に触れていますが、この本はそのことについては全く(1行も)触れず、
「先天的な気質である」と断じているところに、私は少なからず違和感を感じました。
私自身もHSPのお悩みと向き合うカウンセラーとして、日々
「幼い頃の家庭環境が不安定で、つねにビクビクしていた」
「親がいつ暴力を振るうか、いつ離婚するんじゃないかと、神経を研ぎ澄ましていた」
というご相談をされる方と向き合っています。
私自身、年間700件のカウンセリングを行ってきて強く感じるのが
「もちろん先天的な気質の方もいるが、それだけで判断してただ「対処法」を伝えるだけでは不十分」
「幼い頃からの家庭環境についてのインテーク面接を十分に行い「後天的環境要因」の可能性も確認し「HSPにならざるを得なかった環境」を理解した上で「根本的問題解決」を行っていく」
必要がある、ということです。
生まれ育った家庭環境でHSP化した可能性が64%もある
その点に深く言及されているのが、前回の記事で紹介した
敏感で傷つきやすい人たち~HSPの真実と克服への道~(岡田尊司著)でした。
【関連記事】
HSP関連本を心理カウンセラーがレビュー:敏感で傷つきやすい人たち
この本には
HSPは先天的(生まれ持っての)過敏性という場合もあるけれど(36%)
生まれ育った家庭環境(後天的環境要因)によってHSP化した方が可能性が高い(64%)
という点を指摘しています。
私としては、本の内容は難解ではありますが、岡田氏の言及の方が腑に落ちます。
「繊細さんの本」の良かった点
とは言え、「繊細さん」の本が日本にもたらしたものはとても大きいですし、
それぞれのシーンに対して、いろいろな対処法のアイデアが書かれていることも素晴らしいと感じます。
この本に書かれていることを少しずつ実践すれば
「HSPに深く悩むことが減った」と感じられるようになるかも知れません。
本書で共感できたのはこんな点です。
とがった枝が身体に刺す状態では…
森を歩くところを想像してみてください。足元に花が割いていても、とがった枝が身体のあちこちを刺す状態では、花の美しさを愛でている場合ではありません。
つまり、痛みやストレスが多い状況では、まわりに「いいもの」があっても感じにくいのです。
HSPはリラックスしていい状態でも、常に何かが気になってゆっくり落ち着いた状態になれないことがある、ということがわかりやすく書かれています。
他の人が「わからない」ということが「わからない」
実は、繊細さんにとって最大の罠は「相手の”わからない”という感覚が、わからない」ことなのです
そうだよな~。と思いながら読んでいました。
HSPの人が感じていること、例えば
- 職場の隣の人が鼻をすする音
- 営業の人が外回りから帰ってきたときの汗やタバコの匂い
- 後輩がテーブルを拭いてくれたけど、感謝よりも雑巾の生乾きの匂いが気になる
- 誰かがイライラしている様子に、皆が黙っている状態
こういったことに、みんな「気づいてるのに、なんで普通にできるんだろう」と思ってる場合が多いもの。
「みんなが「わからない」ということが「わからない」んですね」
という表現は、HSPにとっては納得できる表現だと感じました。
イラストに納得した点が多かった
その他にも、実はこの本のイラストが秀逸で、「おお~わかりやすい」と思う点が多かったです。
上記のイラストは、繊細さん(HSP)と非・繊細さん(非HSP)の道の進み方(リスク対処)の違いについて描かれたもの。
繊細さんは、落ちるかどうかわからない道が気になってしまい、
ひとつずつ埋めていかないと気が済まず、
他の人が気づかない部分(細部)にこだわってしまううちに
人よりも一手間も二手間も掛けてしまう点がある。
でもそれが結果的に「大きなミスを未然に防ぐ」ことに寄与する場合もあるので、決して悪いことではない。
…ということがイラストで直感的に理解できるようになっている面が多く、理解が深まりました。
HSP関連で一番売れた本ってどんなのだろう?って思われた方に
この本は、タイトルが秀逸で、表紙のデザインも手に取りやすい雰囲気。
HSPという存在がいて、悩みながら生きているということを
わかりやすく日本に広めた本だと私は考えています。
最初にも書いた通り、内容に偏りがあり、
割合が少ないはずの先天的なものにのみ言及している感は否めず
カウンセリングというよりもアドバイスが多めの内容です。
HSPの入り口本として、ご興味がある方は読まれてみるのも良いかも知れません。
Kindle unlimited なら無料で読めます(↓)
「HSP(Highly sensitive person)ってなに?」
「この記事を書いているカウンセラー(吉野)はHSPのことをどう考えてるの?」
「HSPの対処法を知りたい」
という方はこの関連記事もお読みください。
【関連記事】HSPを疑う前に
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