複雑性PTSDとは|症状・原因・アダルトチルドレンとの関係を解説
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感情が急に爆発してしまう。
人間関係で同じ失敗を繰り返す。
自分のことが、どうしても好きになれない。
「自分はどうしてこんなに生きづらいんだろう」
そう感じながら、それでも「性格の問題だから仕方ない」と、長い間自分を責め続けている方がいます。
これらは「性格」や「意志の問題」というより、過去の体験が影響している可能性があります。
その状態を説明するひとつの考え方が
「複雑性PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)」です。
この記事では、複雑性PTSDとは何か、どんな環境で起きやすいのか、そして回復に向けて何ができるのかをお伝えします。
診断は必ず専門医に委ねていただく必要がありますが
「もしかしたら自分のことかもしれない」
と感じた方が、少しでも楽になれるような記事になれば、と考えています。
複雑性PTSDとは 通常のPTSDとの違い
PTSDという言葉は、ご存知の方が多いかと思います。
事故や災害、暴力など、強烈な出来事の後に発症する心の傷のことです。
複雑性PTSDも同じ「心の傷」ではありますが、PTSDとは異なる点があります。
一度きりのトラウマと、繰り返されるトラウマ
通常のPTSDは、特定の出来事(一度の交通事故、一度の被害体験など)がきっかけになり、発症することが多いです。
どちらかというと大きな衝撃的なできごとに遭遇したあとでトラウマが発生するパターン、と言えます。
繰り返されるトラウマ体験とは
一方、複雑性PTSDは「繰り返される」トラウマ体験によって生じます。
子ども時代の長期的な虐待やネグレクト。
慢性的な家庭内暴力。何年にもわたるハラスメント。
一度の大きな衝撃ではなく、じわじわと積み重なっていく心の傷。
それが複雑性PTSDの特徴のひとつです。
だから、医療機関などで、PTSDの状態であるにも関わらず
「事故とかに遭遇したことはありませんか?」と尋ねられても
「自分にはそんな大きな出来事はありません」と答えてしまう方も多いのです。
複雑性PTSDはICD-11で正式に認められた診断名
複雑性PTSDは、近年(2018年に)WHO(世界保健機関)が定めた国際的な疾病分類「ICD-11」に、正式に収載されました。
それ以前は「PTSDの一形態」として扱われることが多かったものの、
原因を特定することが難しい(複雑性である)ことから、
複雑性PTSDの概念が世界的に認知されるまでには長い時間がかかりました。
今は、通常のPTSDとは区別された独立した診断概念として位置づけられています。
(医療機関でも「衝撃的な体験は?」という質問が「NO」であっても、さらなる問いかけをするよう対応が拡大されていったのです)
「自分の状態に名前がついた」ことで、気持ちが楽になれる方もいます。
長年「自分がおかしい」と思ってきたものが、実は多くの人が経験してきた反応のパターンだとわかる。それだけで、少しホッとできるようになることもあるのです。
複雑性PTSDが起きやすい環境の特徴
身体的な暴力だけが原因ではない
複雑性PTSDと聞くと、「身体的な虐待を受けた人の話」と感じる方もいるかもしれません。
でも、そうではありません。
怒鳴られ続けた。無視された。「あなたは役に立たない」と言われ続けた。親の顔色をいつも読まなければならなかった。感情を表現すると否定された。
こうした体験も、繰り返され、長期にわたるとき、心に深い影響を残します。
目に見える傷がないから、自分でも「これはトラウマじゃない」と思いやすい。
それが、気づくことをさらに難しくしています。
複雑性PTSDと情緒的ネグレクトの深い関係
複雑性PTSDの背景として、特に見落とされやすいのが「情緒的ネグレクト」です。
情緒的ネグレクトとは、身体的な世話はされていたけれど、感情面での関わりが著しく不足していた状態のこと。
「悲しい」「怖い」「嬉しい」という気持ちを、親に受け取ってもらえなかった体験です。
食事も与えられていた。暴力もなかった。でも、何かずっと満たされなかった——そういう方に複雑性PTSDの様子が多く見られます。
情緒的ネグレクトについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
複雑性PTSDの症状「性格の問題」だと思っていたもの
複雑性PTSDの症状は、「性格」や「気質」と混同されやすいものが多くあります。
長年「自分はこういう人間だ」と思ってきたことが、実は傷への反応だったとわかることがある。
感情のコントロールが難しくなる
些細なことで激しく怒ってしまう。あるいは逆に、何も感じられなくなる。感情が急に波のように押し寄せてきて、自分でも何が起きているのかわからなくなる。
これは「短気な性格」でも「感情的な人」でもなく、長期的なトラウマが神経系に与えた影響と言えます。
脅威を感じたとき、人の体は「闘う・逃げる・固まる」という反応を起こします。
複雑性PTSDの状態では、この反応のスイッチが過敏になってしまっているのです。
自己嫌悪や羞恥心が強くなる
複雑性PTSDの様相を呈している方の多くが
「自分はダメな人間だ」
「存在していてごめんなさい」
という感覚がいつも心のどこかにある、と言われます。
小さなミスをしたとき、普通の反省の範囲を超えた自己嫌悪に陥る。
誰かに怒られると、それが些細なことでも、自分の存在ごと否定されたように感じる。
これは意志が弱いのでも、自己肯定感を高める努力が足りないのでもありません。
繰り返しの体験の中で、「自分には価値がない」「失敗したら終わりだ」という信念が深く刻み込まれてしまった結果です。
あなたがそう感じるのは、ほとんどの場合、あなたのせいではないのです。
人間関係のパターンに表れる影響
人間関係についても、複雑性PTSDの方は必要以上に苦労を強いられます。
親密な関係になるほど、不安が強くなる。
見捨てられることへの恐怖が強く、相手にしがみついてしまう。
または逆に、深く関わることを無意識に避けてしまう。
幼少期に安全な関係を体験できなかったとき、人は独自の「こうでなければ危ない」という「人との距離の取り方のパターン」を身につけます。
そのパターンが、大人になってからの人間関係にも繰り返し現れるのです。
複雑性PTSDとアダルトチルドレンの関係性
複雑性PTSDとアダルトチルドレン(AC)は、重なる部分がとても多い概念です。
アダルトチルドレンとは、子ども時代に機能不全な家庭環境で育ち、その影響を大人になってからも引きずっている状態のこと。診断名(病名)ではないのですが、放置すると病気まで発展するかもしれない、でもまだ未病のような状態です。
逆に、複雑性PTSDは(ICD-11にも)規定された診断名です。
なので、本来は医療機関で正しい診断と治療を行う必要があります。
ただ、複雑性PTSDはアダルトチルドレンとは切っても切れない関係とも言え、家庭内での経験の蓄積がメンタルの毀損へと繋がってしまいがち。そのまま放置するのは危険なのです。
複雑性PTSDとアダルトチルドレンは関係性が深い
複雑性PTSDの「繰り返されるトラウマ」の多くは、家庭の中で起きています。
親からの否定、感情の無視、慢性的な緊張——そうした環境で育った方は、ACとしての側面と複雑性PTSDの症状の両方を持っていることが少なくありません。
「感情のコントロールが難しい」「自己嫌悪が強い」「人間関係で同じ失敗を繰り返す」—。
これらはACに共通して見られる生きづらさでもあります。
どちらの言葉が自分にしっくりくるかは人によって違います。大切なのは「ラベル」ではなく、その背景にある体験を丁寧に見ていくこと。
ACについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
複雑性PTSDは回復できるのか
結論から先に言えば、複雑性PTSDの回復(寛解)は可能です。
ただし「完全に消す」というよりも、「うまく付き合えるようになる」「反応に気づけるようになる」「安心できる状態が増えていく」というイメージの方が、実感に近いかもしれません。
また、医療機関で「複雑性PTSD」と診断を受けた場合は、安易にカウンセリングのみで問題克服を目指すのではなく、医療機関の医師を主治医としたチーム医療を行っていくことが大事になります。
主治医の判断でお薬をうまく使って、PTSDの症状を出にくくしたり、緩和する処置を取る場合もあります。診断名がついた場合は必ず医師の指示に従うことをお勧めします。
ただ、医師からの許可が得られた場合は、克服の角度を高めるためにも、カウンセリングを行い、過去のトラウマを解決していくお手伝いをする場合もあります。
回復のカギは「安全な関係性」を体験すること
複雑性PTSDは、本当は守ってもらうべき養育者との関係性の中で生まれた傷です。
その回復もまた、関係性の中で起きていきます。
養育者に代わって絶対的に安心できる人との関わりの中で、「ここは安全だ」という体験を少しずつ積み重ねていく。
感情を表現しても否定されない。感じていることをそのまま受け取ってもらえる。
そうした体験が、長年固まっていた心を少しずつほぐしていくのです。
本当は怒っているのではなく…
アダルトチルドレンの造詣が深い担当医師からの許可を得て、当カウンセリングに来られたSさん(40代女性)は
「感情的になってしまう自分が嫌で、ずっと感情を押さえようとしてきた」
とおっしゃっていました。
自分は怒っているつもりはない。でも家族は「すぐ怒る」と指摘する。
確かに自分でも取り乱している感覚はあるけれど「怒っている」と言われて混乱してしまう。
カウンセリングの中で、Sさんに
「Sさんはずっと怖かったんじゃないですか?」
と聞いてみたところ、
突然Sさんはハッと顔を上げ、私の目を見つめながら大粒の涙を流されました。
泣きながらSさんは
「そう。。。私、きっとずっと怖かったんです」
とおっしゃいました。
Sさんにとって、感情を押さえようとしてきた背景には
「恐怖から逃げたい」
「どうにかこの怖さを遠ざけたい」
という思いが奥にあったのです。
その様子が周囲の家族からみて「いつもヒステリックに怒ってる」と思われてしまうことが、Sさんにとって、とてもつらかった様子でした。
感情を感じたって構わない
カウンセリングを通じてSさんは、私に
「怖いときには「こわい」って言ってもいいんですよね」
と聞いてくれました。
「もちろん。怖いときは怖い。それでいいんです」
Sさんは少し震えていました。
長い間、恐怖を感じることは「悪いこと」だと信じていたSさんにとって、それは小さいようで、大きな一歩でした。
その後Sさんは、家族との関係性が少し良好になったとおっしゃっています。
恐怖感からくる感情が爆発することが減り、落ち着いて自分を観察できるようになってきた、と。
「性格を変えよう」としていたときには変わらなかったことが、背景を知り、感じることを許可していくことで、少しずつ変わっていったのです。
※複雑性PTSDと診断された場合、カウンセリングを受ける場合は今では担当医師の許可、または指導のもとでの受診が必要となります。お薬の服用と同じように「ルールと用法、容量を守って」ご利用ください。
※また、病院を受信する前に当カウンセリングをご利用になりたい場合も、ご相談内容によっては医療機関の受診をお勧めするケースもあります。
ひとりで思い詰めて、しんどい気持ちが重なってしまう前に、早めのカウンセリングをお勧めします。
まとめ:複雑性PTSDをひとりで抱え込まないで
複雑性PTSDは、繰り返されるトラウマ体験によって生じる状態で、ICD-11に正式に収載された診断概念です。
身体的な暴力がなくても起きうること、「性格の問題」と混同されやすいこと、アダルトチルドレンとの重なりが深いこと——これらを、この記事でお伝えしてきました。
もし「自分のことかもしれない」と感じた方は、一人で抱え込まないでほしいのです。
診断や症状の確認は、必ず専門の医療機関にご相談ください。そして、心の背景を整理していくプロセスは、カウンセリングという場でも行うことができます。
AC克服カウンセリングでは、こうした生きづらさの背景を一緒に丁寧に見ていきます。
「自分がACかどうかわからない」
「診断はされていないけど、何か引っかかる」
という段階の方でも、安心してご相談いただけます。
まず一歩、話してみることから始めてみませんか。
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