毒親の介護、しなきゃいけない?|「老後はよろしく」が重くのしかかるあなたへ
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「何がどう嫌なのか、自分でもうまく説明できないんです」
「でも、親と一緒にいると、ぐったり疲れてしまって」
「こんな言い方はしたくないけど、薄い毒を少しずつ飲まされているような気分になるんです」
カウンセリングで、こういう声をよく聞きます。
子どもの頃につらい思いをさせられたから、今は親と距離を取っている。
それでも親からは「将来は面倒見てね」と定期的に連絡が来る。
周りの人からは「この世にたった一人の親なんだから」「もっと優しくしてあげたら」「親だってあなたのことを一生懸命考えているはずよ」と言われる。
そのたびに、お腹の奥から言いようのない感情がふくれ上がってくる。それを怒りや憎しみだとは認めたくない。でも、どうしても親を許す気にも、好きになる気にもなれない。
もし今、あなたがそんな気持ちを抱えているなら、この記事はきっとあなたのお役に立てるはずです。
「将来は面倒見てね」が重くのしかかる理由
優しい言い方でも露骨な言い方でも、要求されている内容は同じ
「老後はよろしく」という伝え方は、親御さんによってさまざま。
一番露骨なのは「お前、いつになったら帰ってくるんだ」。
少し柔らかくなると「そんな遠くにいないで、一緒に住んだら楽よ」。
中には「ヘルパーなんて、よく分からない他人に老後の面倒を見てもらう気はないからな」と言われた、という方もおられました。
優しい口調か、きつい口調かの違いはあっても、言われた側に届く意味は変わりません。
「お前の人生を捧げろ」
私には、そう言っているのと何も変わらない言葉に聞こえます。
そして、今の時代にはまったく合わない言葉です。
「何が気に入らないの?」と聞かれると、自分を責め始めてしまう
それでも、言われた側は簡単に「嫌です」とは言いにくいもの。
「何がそんなに気に入らないの?」
と聞かれた途端、頭の中で自分責めが始まるからです。
「私が冷たいのかな」
「私の心が狭いだけなのかな」
答えを探しているうちに、それだけで苦しくなってしまう。
だから「親の老後の面倒も見なきゃいけないし……」「やっぱり、介護はしなきゃいけないんでしょうか」というご相談が、後を絶たないのだと思います。
毒親の介護は、子どもがしなければいけないのか
介護が必要な人は増えていく。だから国も動いた
まず、事実を見ておきましょう。
厚生労働省のまとめでは、介護が必要と認定された人(要介護・要支援)は、2025年3月末の時点で721万人。
介護保険の制度が始まった2000年度は256万人でしたから、25年ほどで約2.8倍に増えています。
介護が必要になる人は、これからも増えていくはずです。
だからこそ、日本には介護保険という仕組みがあります。ヘルパーさん、デイサービス、施設、そしてケアマネジャーさん。介護を家族だけで抱え込まずに、社会全体で支えるために作られた仕組みです。
その仕組みには目を向けずに、「自分だけは子どもに見てもらう」と特別扱いを求める。正直なところ、私はそれは筋が違うと思っています。
法律が子どもに求めていること
「でも、法律で親の面倒を見る義務があるんでしょう?」と心配される方もおられます。
民法877条には、親子は互いに扶養する義務がある、と書かれています。ただ、ここでいう扶養は主にお金の面での支えのことで、それも「自分の生活を崩さない範囲で」と考えられています。
ですから、おむつの交換や入浴の介助まで、子どもが自分の手でしなければいけない、という話にはなりません。私は、親だからといって、ずっとそばに居てあげなければならないとか、下の世話まで子どもが背負うのは、もう間違っていると思っています。
ただし、同居していて、親が一人では暮らせない状態なのに放っておく(親へのネグレクト)、お金を取り上げ、渡さずに干上がらせてしまう(金銭的虐待)といった場合は、法的な責任を問われるおそれがあると解説している弁護士もいます。ご自身の状況で迷ったら、弁護士や自治体の窓口で確かめてください。
子どもは生まれてきた時点で、親孝行を果たしている
「子どもは、生まれてきてくれた時点で親孝行を果たしている」
そんな言葉を聞いたことがあります。本当にそのとおりだと思います。
自分の命を受け継いでくれて、自分の人生を生きようと前に進んでいる。そういう存在がいるだけで、親にとっては宝物のはずです。
それなのに、その後の面倒まで見ろと言う。ましてや、子どもの頃にひどい目に遭わせた、間違った子育てをした。そのうえで「育ててやったんだから感謝しろ」と言うのは、勘違いも甚だしいと私は思います。
「分かってはいるんですけど」が消えない理由
ここまで読んで、
「おっしゃることは分かるんです。分かるんですけど……」
と感じた方もおられるかもしれません。
実際、カウンセリングで同じことをお伝えしても、多くの方がそうおっしゃいます。
育った環境の中で、長い時間をかけて「親の言うことは聞くもの」「親を悪く思う自分が悪い」と思い込まされてきた。その感情が、頭で考えるより先に出てきてしまうんです。
私はこれを「インナーペアレントの声」と呼んでいます。自分の心の中に住みついてしまった、親の声のことです。
「親不孝者」
「育ててもらった恩を忘れたのか」
目の前に親がいなくても、心の中でその声が響く。だから、正しい理屈を聞いても、すぐには楽になれないんです。
いくら正論で説得されても、「分かりました。今日からそうします」とはならない。それは、とても自然なことです。
自分の人生を選ぶための一歩
私がカウンセリングでしているのは、ゆっくり時間をかけて、一緒に考えることです。
あなたにとっての幸せは何か。家族全員にとってのベストな在り方は、どこにあるのか。
あなた一人が苦労を背負って、犠牲になっていいのか。
その姿を見た、あなたの子どもや次の世代の人たちは、どう感じるのか。
そういうことを全部ひっくるめて、あなたにとってのベストな道を探していきます。
まずは地域の窓口やケアマネジャーに相談する
親の介護が現実に近づいているなら、まず国や地域の助けを使ってください。
市区町村ごとにある「地域包括支援センター」は、高齢者の介護や暮らしについて相談できる窓口です。介護保険を使うようになると、担当のケアマネジャーさんがつきます。
ケアマネさんに少し話すだけで、絡まっていた話がほぐれていく。そういうことは、本当にたくさんあります。
罪悪感が強いときは、カウンセリングで心の中を整理する
ただ、過去にひどいことをされた、嫌な言葉を浴びせられた、そして今もそれが少なからず続いている。そういう場合は、ケアマネさんだけでは受け止めきれないこともあります。
そんなときは、カウンセリングを使って、あなたの心の中の罪悪感を取り除く作業を、できるだけ積極的にしてほしいと思います。あなた自身の気持ちで、親との関わり方を選べるようになるためです。
親の介護に悩むあなたへ
介護には、社会の仕組みがあります。
そして、心の中の罪悪感は、時間をかけて整理していくことができます。
状況や、あなたの心の疲れ具合に応じて。そして、あなた自身の人生を選ぶために。何か一歩踏み出すことは、とても大事だと思っています。
親とのことで、ひとりで抱えきれなくなったら、一度ご相談ください。
▶ 毒親から離れたいあなたへのカウンセリング
https://ac-counseling-osaka.net/toxic_parents/
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出典
- 厚生労働省「令和6年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント」 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/24/dl/r06_point.pdf
- ベリーベスト法律事務所「毒親の介護は拒否できる?介護放棄したら罪に問われるのか」(2024年7月18日) https://www.ben54.jp/column/family/1026
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