ガスライティングは”長期的洗脳”|親子・夫婦関係で残る後遺症とは
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ガスライティングは”長期的洗脳”|親子・夫婦関係で残る後遺症とは
講座やカウンセリングでガスライティングについて説明すると、みなさん頭ではきちんと理解されるのです。
「そうですよね」
「おっしゃる通りです」
「よくわかりました」
ここまでは、すべて理解できています。
でも。そのすぐあとに、こんな風に続ける方がおられるのです。
「でも、こんな頭の悪い私にできるでしょうか?」
実はこれ、ガスライティングによる心理的操作を長く受けてきた方が、よく口にされる言葉なんです。
今、何が起きたか、お分かりになりますか。
「自分は頭が悪い」という前提が、何の検証もされないまま使われています。
誰がそう言ったのか? 本当に自分で確かめたことなのか? そこは飛ばされたまま、「頭の悪い私にはできない」とただ信じている。
頭では「そう考えることはおかしい」のはわかってる。
でも必ず「私は頭が悪いんだ」という思い込みから、すべてのものごとを見てしまっているのです。
ガスライティングによる洗脳は意外に多い

ガスライティングによる洗脳は意外に多い
もしかしたら、あなたにも似たことはないでしょうか。
- 私は頭が悪い
- 私は優しくないから
- 私はブスだから
- みんなから嫌われる(好かれてない)から
- 女性らしい格好やお化粧は私に似合わないから
- 私がいると、みんなを不快にさせてしまうから
こういった「根拠のない思い込み」が抜けない方。意外と多いのです。
理論ではわかっていても、その奥にある「自己評価の一部に誤りがある」という前提が抜けない。
これが、ガスライティングの怖さです。
ガスライティングは、一度だけの意見の食い違いや認識の誤りではありません。
自分の記憶、感情、判断を長期間、何度も否定され、相手の説明の方が正しいと思わされていく心理的操作(いわゆる洗脳技法)なのです。
しかも短期間の洗脳ではありません。
親子関係や夫婦関係という逃げにくい場所で、何年、場合によっては何十年とかけて行われる”長期的洗脳”なのです。
ガスライティングは日常の中で行われる洗脳

ガスライティングは日常の中で行われる洗脳
「そんなことは言っていない」
「また考えすぎている」
「普通はそんなことで傷つかない」
「いつもあなたは変なことを言う」
「気にしすぎなのはあなたの方」
こうした言葉を一度言われただけで、ガスライティングになる訳ではありません。
訴えるたびに記憶や感情を否定され、最後には訴えた自分が悪かったことにされる。
なんども同じやりとりが繰り返されることで、自分の受け取り方を先に疑うようになります。
「やっぱり私が間違ってるのかも」
「私は頭が悪いから、こんなにも理解できないのかな」
「これ以上文句を言ったらますます嫌われる。私が悪いんだ(理由はわからないけど)」
こんな風に、段々自分の判断や容姿、未来等に自信がなくなっていくのです。
明らかな身体的虐待とは違うタイプの洗脳
ガスライティングは怒鳴る、殴る、物を壊すといった、わかりやすい暴力が伴わない場合の方が多いもの。
むしろ表面上は優しくさとされるように注意を受ける場合だってあります。
「心配しているから」
「あなたのためだから」
「冗談なのに、どうして本気にするの」
「いつもあなたはそう」
「なんでそんなに極端に取るの?」
愛情や常識、冗談の形をしているから、受けている本人にも見えにくい。
相手が親や配偶者なら、「この人が私を騙すはずがない」と考えてしまうのも無理はありません。
だからこそ。ガスライティングは、日常生活の中へ静かに入り込む洗脳なのです。
ガスライティングという洗脳は長い親子・夫婦関係で醸造される

ガスライティングという洗脳は長い親子・夫婦関係で醸造される
子どもにとって親は、世の中の見方を教える存在です。
何が正しく、何が間違っているのか。自分が感じたことを信じてよいのか。
それを最初に確かめる相手が「親」という存在なはず。
その親から、何年も「気のせい」「大げさ」「あなたが悪い」と言われ続ける。
子どもは家庭の中で生きるために、自分の感覚より親の説明を信じるようになります。
夫婦関係にもガスライティングは存在する
夫婦関係でも同じです。毎日の会話で記憶や感情を否定され続ければ、最初は反論していた方も「また私が間違っているのかな」と考えるようになりがち。
さらに、子どもから大人になるまで家庭でガスライティングを受け、結婚した相手からも同じ心理的操作を受け続ける場合があります。
これは、複数の人間から長期間にわたり、何度も洗脳を受けた状態です。
親から植えつけられた「自分の感覚は間違っている」という前提を、配偶者によってさらに強化されてしまう。その場合、どこまでが事実で、どこからが思い込まされた説明なのかを、ひとりで整理することが難しい場合もあります。
ガスライティングの洗脳が残す4つの後遺症

ガスライティングの洗脳が残す4つの後遺症
相手と離れても、何度も与えられた判断基準が自分の考え方として残ることがあります。
① 自分の判断に自信が持てない
ひとつ目は、自分の判断に自信が持てないことです。
服を選ぶ。食事や予定を決める。小さな決断でも罪悪感や不安感が湧き、決めたあとに口コミを読み直したり、誰かに確認したりします。
② 自分責めが止まらない
ふたつ目は、「私が悪い」から考え始めることです。
相手の言動に問題がなかったかを考える前に、「私の言い方が悪かった」「怒らせた私に原因がある」と、自分の落ち度を探します。
③ 誰かの”許し”を欲しがる
三つ目は、頭の中の相手に許可を取ることです。
誰にも聞いていないのに、「買ったら何と言われるだろう」「機嫌を損ねないだろうか」と考える。頭の中に相手の口調がコピーされている状態です。
④ 自信がないから根拠や説明を探す
四つ目は、自分の感情にまで説明を求めることです。
「嫌だ」と感じたあとで、嫌だと思ってよい根拠を探す。相手に悪気はなかった、大したことではない、私が敏感なだけだと考え、感じたこと自体を取り消してしまいます。
感情は、証拠がなくても成立します。
「私は今、嫌だと感じた」。これは議論して導く結論ではありません。その時に自分の中で起きた事実です。しかし、ガスライティングを受け続けると、その事実にさえ自分で「根拠は?」と聞き返すようになってしまうのです。
ガスライティングという長期的洗脳から抜け出すために

ガスライティングという長期的洗脳から抜け出すために
ガスライティングは「子ども時代から大人になるまで」や「長い結婚生活を続ける」うちに、少しずつ刷り込まれていく洗脳手法です。
だからたちが悪い。
ガスライティングから抜けるには長い時間を要する場合が多いのです。
長い時間をかけて刷り込まれた言葉に、一度の反論で勝とうとしないでください。
何百回も「あなたが悪い」「考えすぎだ」と言われてきたなら、こちらも何百回、場合によっては何倍もの回数、判断をやり直さなければなりません。
ガスライティングからゆっくり抜け出るために
まずは小さなことを、誰にも確認せずに決めます。今日飲むもの、明日着る服、帰宅後に何をするか。決めたあとに調べ直さず、「私はこれを選んだ」で終える練習です。
頭の中に否定する声が出てきたら、「今のは母の声だ」「元夫の言い方だ」と名前をつけます。自分の声と相手の声を分けられるようになると、従う前に一度止まれるようになります。
そして、「事実」と「解釈」を分けてください。
「事実」と「解釈」を分ける、とは
もし仮にあなたがなにかの予定を忘れていて、約束を飛ばしてしまった、としましょう。
でもそこで「私は頭が悪いからこうなるんだ」と考えないようにして欲しいのです。
「約束を忘れていた」は「事実」です。
でも。
「頭が悪いから間違えた」は、あとから足された「解釈」です。
事実は正しいかも知れませんが、あとから付け加えた解釈は「ガスライティングによる洗脳の影響」であることが多く、「なんの根拠もない説明」であることが多いのです。
他にも
- 私は優しくないからうまくいかない
- 私はブスだから仲良くしてもらえない
- みんなから嫌われる(好かれてない)から行くのをやめよう
- 女性らしい格好やお化粧は私に似合わないから、こんな服は着ない
- 私がいると、みんなを不快にさせてしまうから、二次会には行かないでおこう
こういう考え方は事実と正反対のことも多いもの。
もし、ガスライティングによる解釈であなたの人生の可能性が閉じられているのだとしたら。
早めに信頼のおけるカウンセラーにご相談いただきたいのです。
認知の再構成
当カウンセリングでは、このように浮かんだ考えを事実と照らし合わせ、判断を組み直す作業を行います。心理学では認知の再構成(思い込んできた解釈を、現実の事実と照らして見直す方法)と呼ばれるものです。
親からも配偶者からも長くガスライティングを受けてきた場合、自分の感覚だけで全部を確かめ直すのは困難なことがあります。安全な相手と一緒に「本当にそうだったのか」を一つずつ確認し、新しい判断を何度も積み重ねる必要があるのです。
あなたは、何度も自分の感覚を確かめようとしてきたんです。
そのたびに「気のせい」「考えすぎ」と返され、確かめる方法を取り上げられてきた。
何年もそれが続けば、自分の判断を信じられなくなるのは当然です。
問題は、あなたの頭や判断力にあったのではありません。
長い親子関係や夫婦関係の中で、そう思い込まされてきたのです。
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参考資料
- APA Dictionary of Psychology: gaslight
- A Theoretical Framework for Studying the Phenomenon of Gaslighting
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