「橋の下で拾ってきた」は虐待?!笑いながら言う親の心理を解明する

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「お前はな、橋の下で拾ってきた子や」

親からそう言われた記憶がある方。結構たくさんいらっしゃいます。

半笑いしながら。茶化した口調で。
ときには親族が集まる席で毎年のように言われた、という話をしてくれたご相談者もおられました。

「橋の下で拾った発言」は、子どもにとっては想像以上にダメージを受ける言葉の暴力(ある種の心理的虐待)と言えます。

「虐待だなんて。そんな大げさな」
と思いますか?いえ。決して大げさなどではないのです。

それが証拠に、子どもの側は「言われたシーン」や「言ったときの親の顔」を全部覚えています。
(子どもの頃の記憶がずっと残っているということは、それだけ衝撃的(トラウマレベル)であり「覚えておかないと危険(また同じことを言われたら生きていけないレベルの警報)」につながっているのです)

今回の記事は、子どもの頃に

「オマエは橋の下で拾った子」と1度でも(1度でも、です)言われた記憶のある方にお伝えします。
半笑いで言う親の心理と、つらかった記憶の処理の方法についても解説します。

ぜひ最後までお読みくださいね。

 

「橋の下で拾ってきた」と言われた子の心に何が起きるのか

親に怒鳴られるのと、「橋の下で拾った」と言われるのとでは、子どもの心に起きることがまったく違います。

怒鳴り声は「怖い」という感情を呼び起こします。それは恐怖であり、痛みです。

でも、「橋の下で拾った」という言葉は別のものを壊します。

自分の居場所、つまり「存在の寄り拠そのもの」への攻撃です。

「怒鳴られた」という体験だけでも、子どもにとっては充分な傷になります。
しかし「自分はここの子ではないかもしれない」という体験は、もっと深いところを揺さぶります

アイデンティティの土台、「自分はここにいていい」という感覚が、根こそぎ揺らいでしまい、
「もしかしたら自分はここにいてはいけない存在なのではないか」という疑念に変わっていくのです。

幼い頃に、「自分はいてはいけない存在なのでは?」と感じさせられたことが衝撃的な体験となるから。
だから記憶に残るのです。

 

そして、その記憶はふとした瞬間に、別の場所で戻ってくることがあります。

呆れた顔をしている先輩や先生、バカにして笑ったり、急に怒り出すご主人の顔、いつ切られるかビクビクしながら働いている会社で
「ちょっと、〇〇くん、別室に来てくれる?」
と上司から呼ばれたときの恐怖感。

「そんなことでビクビクする自分がおかしい。」
「気にしすぎなのは自分の性格なんだ…」
「もっと強くならなきゃ…」
そんな風に考え、自分を責めている方も多いと思います。

でも。

その原体験が、実は
「オマエは橋の下で拾ってきた子」
と言われた、あの日の親の顔、声のトーン、周りの雰囲気にリンクした記憶が影響しているのかも知れないのです。

 

幼少期の不適切な養育体験は大人になっても影響する?!

スタンフォード大学の研究チームが発表した研究(2023年)では、幼少期の不適切な養育体験が成人後の感情処理に深く影響することが明らかになっています。Psychological Bulletin:スタンフォード大学2023のメタ研究
感情を言語化できなくなる状態(感情鈍麻:失感情症(アレキシサイミア))と幼少期の養育体験には、強い関連があると報告されています。

「橋の下で拾った」という言葉を今でも引きずっているとしたら、それはあなたが弱いのではありません。
それほどの言葉の暴力を受け、あなたの所属欲求(ここに居ていい、という感覚)が深いダメージを負った、ということだったのです。

 

なぜ親は半笑いでひどいことを言うのか。心理を解明する

「なぜそんなことを言う親がいるのか、意味がわからない」
「自分も言われて嫌だったろうに。どうしてループさせちゃうんだろう?」

そう感じている方は多いと思います。ただ、実は、こういったことを半笑いで言う親側の心理には「一定のパターン」があります。

ここを理解しておくことで、「自分が悪かったのかもしれない」という思い込みを手放せるかもしれません。

 

「愛情確認」というより「支配の確認」だった

よく「子どもを困らせることで愛情確認をしようとしている」と言われることがあります。

確かにその側面はあります。

しかし「橋の下で拾った」的発言の親の心理をより正確に言うなら、
「支配できているかどうかの確認」をしている
という方が正しいだろうと私は考えています。

子どもが泣く。すがりつく。「本当?本当に橋の下で拾ったの?」と必死に聞いてくる。

その瞬間、親は「自分がこの子をコントロールできている」という感覚を得ます。
子どもの感情を、自分の言葉一つで動かせる。それが、愉悦になるのです。

 

ナルシスティックな養育環境

子どもを困らせたり、泣かせたり、しがみつく姿を見て安心するー。
この状態を「ナルシスティックな養育環境」と呼んでいます。(ナルシスティックという場合も。どちらも意味は同じ)

これは、親自体が自己肯定感が低い状況のまま、自分より弱い相手に「お試し行動」をして、望んだ通りの行動をしたら満足する、という、養育環境を形成していることになります。

複数の研究によると、ナルシシスティックな養育環境に育った子どもは
「感情的一貫性の欠如」
「条件付きの愛情」
「安全な愛着の不在」
を特徴とする環境に置かれると報告されています。

このように子どもへの意地悪が快楽になりうる親が、研究上も存在することが示されています。

 

親になってはじめて異様な養育環境だったことに気づいて…

当カウンセリングには
「自分が子どもを授かって、子育てしてみてから、はじめて自分の親の育て方が変だったことに気づいた」
「いまだになぜあんなひどいことを我が子に言えるか理解できない」
「だから親には我が子を会わせたくない」
という若い親御さんがたくさんお越しになります。

「なぜあんなことができるのか意味がわからない」と感じるのは、当然のことです。
子どもを愛している親には、その動機が理解できないはず。
でも「支配」と「愉悦」が目的であれば、行動の説明がつきます。

同じ楽しむなら、お子さんが未来に期待が持てる楽しみ方を一緒に探したい。
そう思うあなたの感覚こそが、よっぽど健全で美しい姿勢なのです。

 

言った人だけじゃない。一緒に笑った人も「共犯」

もう少し続けます。
実はこの問題。親子の問題だけで済まないことがあるので、どうしても言及しておきたいのです。

「橋の下で拾った」という言葉は、家族や親族が集まる場面で言われることが少なくありません。

  • 盆暮れ正月・ゴールデンウィークの親族の集まり
  • ○回忌・法事・墓参りなどの行事
  • 夏休みなどの親戚とのイベント

こういう集まりの度に「オマエは橋の下で拾った」発言をし、親だけでなくその場にいる大人たちが笑う。

「また言ってるわ(笑)」
「もうやめといたげて〜(笑)」

誰も強く止めようとしない。

なんならその話にさらに被せるようにもっともらしい状況を付け加える親族もいて、

「あの日のことはワシも覚えとるで〜(ニヤリ)
「そうそう、あの日は雨が降ってたよなあ」

言われた子どもが、なんともいえない表情になるのを見て、また笑う。

あの冗談が、子どもの心に何を巻き起こすのでしょうか。

 

笑いは「社会的な承認信号」になります

子どもはその場全体を読みます。親が言い、大人たちが笑う。
その瞬間に子どもが受け取るのは「この場の全員が、この発言はおかしくないと思っている」というメッセージです。

だから反論できなくなります。傷ついていることも言えなくなります。
「おかしいのは自分なのかもしれない」という混乱が始まるのです。

これを、社会心理学では「傍観者効果」といい、
その場に多くの人がいて、誰も介入せずに笑っていると、言われた子どもの側は「本当のことなんだ」と受け取りがちですし、
逆に笑っている大人たちは「冗談だとわかってるだろう」「まさか真剣に受け止めてないだろう」「真面目に割って入って雰囲気を悪くしたら悪目立ちしそう(だからやめとこう)」「誰かが止めるだろう」という責任の拡散が起きます。

積極的に乗っかった人だけが共犯なのではありません。
「また言ってる(笑)」で流した人も、その場で子どもを孤立させる側に加わっていたことになるのです。

さらに悪い場合があります。

「あそこに川あるやろ。赤い欄干の橋。あの橋の下でな、雨が降ってる日に拾ってきてんや」

実在しない記憶に、日時・場所・天気を加えて写実的に語る。子どもがショックを受けてパニックになる様子を、楽しむようにして。

これは意図的なガスライティングです。
「嘘」を現実のように演出することで、子どもの認知を意図的に揺さぶっています。

 

アダルトチルドレンが「自分だけがおかしかった」と思い続ける理由

大人になってから、その記憶を誰かに話したとき、こんなことを言われたことはないでしょうか。

「よくある話やん」「そんなこと気にしてたの?」「冗談やったんちゃう?」

そのたびに、「やっぱり自分の感じ方がおかしいのかもしれない」と思ってきた方もおられるのかもしれません。

でもそうじゃない。
あなたはあのとき、ものすごく傷ついた。自分の生きている足場が崩れて、ものすごいショックを受けていたのです。

 

ずっとひとりで、この重さを抱えてきた方に伝えたいことがあります。

「みんな笑っていたから、傷ついた自分がおかしいんだ」という考えは、あの場で植えつけられたものです。
周囲の大人全員が笑って流していた。
父や母だけでなく、おっちゃん、おばちゃんたちも楽しそうにしてた。

だから悲しい気持ちになる自分の方がおかしいんだ、と思ってしまったのかも知れません。

でも、もうそんな思いは引きずらないでいてほしいのです。

「笑い話にしなければならない」
「大げさに感じてはいけない」
「冗談にして聞き流せない自分が悪い」

と思おうとしてきた方がもし、ここまで読んでくださっているとしたら。
「絶対そんなことないからね」
「あなたは何も悪くないから」
と強く強くお伝えしたいのです。

 

親の言葉に傷ついた人に、試してほしいカウンセリングがあります

 

今回、1つの例として挙げた「橋の下で拾ってきた」という言葉は、心理的虐待に分類されます。
子どもの存在(社会性欲求と承認欲求)そのものを揺るがす言葉であり、それを笑いながら繰り返すことは、支配と愉悦のための行為(ナルシスティックな養育環境で育った証拠)、と言えます。

あなたが傷ついたのは、正しい反応です。
おかしかったのは、あなたではありません。

ただ、いくらこのような記事を読んで、頭でわかっても、心がついてこないことがあります(よね?)。

「あれは心理的虐待だったんだ」「ナルシシスティックな養育環境、って言うんだ…」
と知識として理解できても、いまも大きな声が怖かったり、他人が半笑いでいるとしんどくなったり、何かある度に自分を責める癖が抜けなかったりする方もおられると思います。

それはあなたの意志の弱さではありません。幼少期に適応するために身につけたパターンが、今も体の中に残っているからです。

当カウンセリングでは、ナラティブワークという手法を中心に、幼少期の場面をもう一度安全な場所で扱っていきます。あの頃の自分に、今の視点から関わり直す。「あなたは何も悪くなかった」を、頭ではなく体で受け取れるようになるまで、一緒に進んでいきます。

ひとりで抱えてきた重さを、もう少し軽くすることはできます。
もし気になった方は、そのままにせず、当カウンセリングにご相談ください。

 

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