【感情鈍麻の原因】家庭で感情を止めてきた人に起きていること
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感情鈍麻の相談者から「ロボットになりたい」と言われ…
「先生、私、感情を感じるとしんどいので、感情を感じない方法を教えてほしいんです。
できればロボットみたいになれたらどんなに楽かと思うんです」
カウンセリングの現場で、こう打ち明けてくれた方がおられました。
冗談のように聞こえるかも知れませんが、本人はいたって真剣です。
感情を感じないための方法を、本気で探しておられたのです。
感情がめんどくさい。嬉しいはずの場面で心が動かない。悲しいはずの場面で涙が出ない。周りから「薄情だね」と言われて傷ついたこともある。でも、自分でもなぜそうなるのかわからない。
もしかしたら、あなたも似たような感覚を抱えたことはありませんか。
これは、心理学的には感情鈍麻(かんじょうどんま)と呼ばれる状態です。
今日は、この「感情鈍麻」について、
- 感情鈍麻とはなにか?
- どんな方がご相談に来られるのか?
- 感情鈍麻の治し方、治療法はあるのか?
についてお話していきます。
感情を感じることが苦手な方や、感情を感じる度に罪悪感を感じるような方は、そのまま放置は危険です。
今回の記事をぜひ最後までお読みくださいね。
感情鈍麻とは?「何も感じない相談者」に起きていること
先ほどの相談者さんは、決して感情が壊れているわけではありませんでした。
むしろ、感情を感じてしまうことのほうがつらい。だから感じない自分になりたい、と。
感情鈍麻かんじょうどんまとは、喜怒哀楽の感覚が薄くなり、何を見ても何を言われても心が動かない状態を指す言葉です。
医学的には統合失調症やうつ病、離人感などの症状として説明されることが多いのですが、当カウンセリングに来られる方の多くは、そうした病名がつく前の段階で、日常的にこの生きづらさを抱えておられます。
感情鈍麻は〇〇の会話が苦手
感情鈍麻の状態にある方には、ある共通した特徴があります。
「オープンクエスチョン(開かれた問いかけ)」が苦手な方がほとんどなのです。
「今日はどんな天気ですか」「何ページから読みますか」というように、答えがはっきり決まっているクローズドクエスチョン(他人が答えても同じ回答や「はい・いいえ」で答えられる質問)には、他の人と同じように普通に答えられます。
感情鈍麻は「どう?」で固まる
ところが「どう思いますか」「どう感じましたか」「あなたの意見は?」というように、答えが決まっていないオープンクエスチョン(自由に答える質問)を向けられた瞬間、急に固まってしまうのです。
自由に答えていいはずなのに、自由だからこそ怖い。そんな逆転が起きています。
だから「何を尋ねられるかわからない」人間関係や、面接等の「自分の答えで合否が決まってしまう環境」がとても苦手なのです。
「感情を感じるな」という命令と自分責めの仕組み
カウンセリングの中で、こんなやり取りがよくあります。
「「私は感情を感じても構わない」と言えますか?」
「……。(喉の奥がつっかえるような様子)」
「無理なさらないでいいですよ」
「すみません…。言えそうで、言えません」
頭では「感情を感じてもいい」とわかっているのに、いざ口に出そうとすると喉の奥でグッと詰まってしまう。
これは、非言語の領域で「感情を感じるな」という命令を自分自身に与えているからです。
でも。なぜこんな命令を、自分で自分に出すようになったのでしょうか?
それは、感情を感じてしまうと痛い目に遭った経験が心に刻まれているためです。
感情を抑えているのに「あふれてしまった」ときがつらい
さらに厄介なのは、自分に命じた「感情を感じるな」という命令を破ってしまったとき、
つまり感情があふれ出てきてしまったときです。
多くの方が、感情の湧いた自分を責め、嫌悪してしまいます。
まるでタブーを犯したかのように取り乱し、恥ずかしくなり、二度と感情を出さないようにと自分を戒める。
この繰り返しが、感情鈍麻をさらに強めていきます。
なぜ感情を止めるようになったのか?
感情鈍麻になった方の背景を伺っていくと、多くの方に共通するのが、
子どもの頃から親の顔色を読み続けてきた経験です。
叩かれるといった直接的な暴力(身体的虐待)がなくても、自分の感情を出した瞬間に、親が口をきいてくれなくなる。親に拗ねられて、機嫌を取り直すのに何日もかかる…。
そんな経験があると、それだけで、もう二度と感情を出すまいと思うには十分です。
感情鈍麻は「感情を感じない方がマシ」と学ぶ経験の積み重ねで作られる
親を助けるために感情鈍麻を無意識に選んでしまった人もおられます。
例えば、自分以外の家族の誰かが感情的になると、親が迷惑そうに「あの子には困ったもんだね」と愚痴る、という環境で育ったために「感情を感じると親に迷惑がかかる」と思い込んでしまうのです。
カウンセリングの現場では、感情鈍麻に関するいろんな事例をお伝えします。
その上で「こういう経験はなかったですか」とお聞きすると、
「感情を出せる環境ではなかったと思います」
と静かに答えてくださる方が多いのです。
これは、必要な愛情や共感を十分に与えられずに育つ情緒的ネグレクトという枠組みの中でも語られる話です。
【関連記事】情緒的ネグレクトが大人になって急に苦しくなる理由
感情鈍麻の治し方「感情を感じても大丈夫」だと理解するためにできること
海外の研究でも、子供時代に十分な情緒的な関わりを受けられなかった経験が、大人になってからの感情の消失感につながる可能性が示されています。(Wang et al., 2022, Frontiers in Psychiatry)
研究の対象はうつ病を抱える若年成人であり、この記事をお読みのあなたにそのまま当てはまるとは限りませんが、感情を止めてきた過去が今の状態と無関係ではないと考える根拠のひとつにはなります。
感情を感じないロボットになる方法はお伝えできませんが…
当カウンセリングでは、感情を感じない方法をお伝えすることはできません。
ただ、少しずつ感情を感じて、出しても大丈夫だと体と心で学び直す方法はお伝えできます。
心理療法のひとつである「リペアレンティング(育て直し)」と呼んでいるこの作業は、時間はかかりますが、着実に効果が出てくるプロセスです。
感情鈍麻になってしまったのはあなたのせいではありません。
親の顔色を読み、感情を出せば損をすると学び、感じた自分を責めてきた。その一つひとつが、今のあなたを作ってきたのです。
だからこそ、感情を感じられなくなったのは、弱いから、冷たいから、というわけではないのです。
あの環境を生き延びるために、そう習慣づけるしかなかっただけ、なのです。
感情鈍麻の習慣は書き換えられます。
感情を感じない自分になろうとするのではなく、感情を感じても大丈夫な場所を探すところから、始めてみませんか。
当AC克服カウンセリングでは「感情を感じることが難しい」「逆に感情が爆発しすぎてしんどい」などのさまざまなご相談に日々お応えしています。
生きづらさをそのまま放置しても、勝手に良くなることはほとんどありません。
よかったら、あなたの感情を取り戻すためにも。AC克服カウンセリングを試してみてくださいね。
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